# 走っているのに歩いていなかった

  Apple Watch を持っている人の多くは、Health アプリケーションをほぼ開かないと思います。せいぜい今日の歩数か睡眠時間を眺めるくらいで、1年分のデータをさかのぼって見たことはない、というのが正直なところではないでしょうか。

私もそうでした。Apple Watch はずっと使っていて、ヘルスケアのデータもそれなりにたまっているはずでした。初めてちゃんと見てみると、思っていたより悪いことと、思っていたより良いことが同時に出てきました。

週1〜2回、20〜40分、昨年11月ごろから走り続けているのに、歩数の平均は4,000歩でした。一方で VO2 Max[^vo2max] は46まで上がっていました。

## きっかけ

X(旧Twitter)で「iOSアプリケーションのヘルスケアデータをサーバに送信している」という投稿を見かけました。なんかおもしろそうと思ったのがきっかけです。

仕事で Grafana[^grafana] を触る関係もあって、自分のデータで試してみました。

## 作ったもの

iPhone のヘルスケアアプリケーションから export.xml をエクスポートして、Python スクリプトで SQLite に変換し、Docker で立てた Grafana から見るというしくみです。すべてローカルで完結するのでランニングコストはゼロです。

![Grafanaのダッシュボード画面](https://pub-151065dba8464e6982571edb9ce95445.r2.dev/images/4c0ab85e397d328d288fbe2b2cc70926.png)

リポジトリは公開しているので、セットアップ手順はそちらを参照してください。

https://github.com/Suntory-N-Water/apple-health-grafana

一方で「Health アプリケーションで見ればよくないか」という話ではあります。ただ、自分のデータを題材に触ってみようというのが正直なところです。

## データを見て驚いたこと

### 歩いていなかった

1週間のうち3日は出社・2日は在宅勤務で、徒歩での通勤ではありません。歩数が少ないのはわかってはいましたが、出社した日でも1万歩には届かないことがほとんどでした。

![歩数の推移](https://pub-151065dba8464e6982571edb9ce95445.r2.dev/images/8f6fdb80f1a89cdaa0d56c631192d8ee.png)
*スパイクは旅行などの例外的な日で、ベースラインが低い*

ランニングは続けているのに、日常の活動量は低い。意識的に走ることと、無意識に歩くことは別物だということが数字で見えました。

### 走っていてよかった

計測を始めたころは40台前半だった VO2 Max が、今は46まで上がっています。2025年11月ごろから本格的に走り始めて、半年ほどの継続が効いたのだと思います。

![VO2 Maxの推移](https://pub-151065dba8464e6982571edb9ce95445.r2.dev/images/55379f36e27405445055087da4881cd1.png)

「本当に効いているのかよくわからないけど続けよう」という感覚でランニングを続けていました。走っている効果が出ているかどうか、数字で見るまでは確信が持てませんでした。数字で確認できたのはよかったと思います。先にランニングがあって、あとからデータがついてきた形です。

気になって Grafana のスクリーンショットを Claude に投げて各指標の評価を確認したところ、「VO2 Max の上昇がすべてを物語っています。ランニングは効いています」と言われました。まあそうだよな、という感想でした。

## まとめ

データを見て気付いたのは2つです。走っていても歩いていないとは思っていなかったし、ランニングが効いているかどうかも、数字で見るまでは自信が持てませんでした。自分のことは意外と自分でわかっていないものだと思いました。

1年に1回、ヘルスケアのデータを引っ張り出すだけでよいと思います。毎日ダッシュボードを見る必要はありません。今回わかったのは「走っていれば歩かなくてもよい」は間違いで、意識的な運動と日常の活動量は別物だということです。これはデータを見るまで本当に気付いていませんでした。

Apple Watch を使っているなら、一度だけヘルスケアのデータを引っ張り出してみてください。そんなに時間はかかりません。何かひとつは、見るまで気付かなかったことが出てくるはずです。

[^vo2max]: 最大酸素摂取量。心肺持久力を示す指標で、数値が高いほど持久力がある。Apple Watch が推定値を計測してくれる。
[^grafana]: オープンソースのデータ可視化ツール。時系列データのグラフ表示や監視用ダッシュボードに使われることが多い。
    