Claude Code で「さっきの続きやって」が一番高いのか確かめた

Claude Code の利用状況を Cloudflare D1 にためています。3 か月半ぶんのデータで、「1 時間以上あけて同じセッションに戻る最初の入力が一番高い」が自分の環境でも成り立つのかを確かめました。

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Claude Code の利用状況を OpenTelemetry で Cloudflare D1 にためています。ためはじめて 3 か月半が経ち、まとまった量のデータが集まってきました。

このデータで確かめたいことがありました。odacchi 氏の Claude Codeのプロンプトキャッシュ TTLは、プロンプトキャッシュには有効期間があり、それを過ぎて同じセッションに戻ると会話履歴の全体を送り直すことになる、という内容です。仕様と単価から導いた話なので、自分の手元でも同じことが起きているかどうかは、ためたデータで確かめられるはずです。

確かめたところ、同じことが起きていました。この記事では、確かめ方と結果、そしてその対策を書きます。

記録している値

Claude Code は API へのリクエスト 1 件ごとに、キャッシュから読み込んだトークン数と、キャッシュに新しく書き込んだトークン数を分けて報告します。D1 に保存しているのは、この 2 つに、セッションの ID と時刻を添えたリクエスト 1 件ぶんの記録です。

セッションは /clear するまで 1 つの ID で続くので、同じセッション ID の行を時刻順に並べれば、前のやり取りからどれだけ間があいたかが分かります。

キャッシュが適用されていれば、前回までの会話はそのまま読み込めるため、読み込みトークンのほうが大きくなります。有効期間が切れていれば、同じ内容をもう一度送って書き直すことになるので、大きくなるのは書き込みトークンのほうです。リクエスト 1 件ごとにこの 2 つを比べて、書き込みが読み込みを上回った回を「キャッシュが切れていた回」と数えました。

以下の数値は、2026 年 5 月 18 日から 9 月 6 日までにたまった 38,500 件、741 セッションぶんです。Claude Code は 2.1.263 でした。

キャッシュの有効期間は自分で決められます。公式ドキュメントが指定できる値としているのは 5m か 1h のどちらかで、対象のリクエストは 2 つに分かれています。会話そのものを決めるのが settings.json の promptCacheTtl で、サブエージェントや /compact などそれ以外のリクエストを決めるのが subagentPromptCacheTtl です。私はどちらも 1h にしました。

60 分を境にした変化

前回のリクエストからどれだけ間があいたかで、38,500 件をまとめました。

前回からの間隔

件数

読み込み(平均)

書き込み(平均)

1 件あたりのコスト比

セッションの最初

741

4,594

4,350

0.74

1 分未満

34,988

69,861

2,131

1.00

1〜5 分

2,272

81,095

3,942

2.21

5〜30 分

312

87,967

10,957

3.14

30〜60 分

54

82,689

14,911

4.33

60〜120 分

40

27,424

66,838

11.79

2 時間超

89

17,566

69,417

11.48

コスト比は、1 分未満のリクエスト 1 件あたりを 1.00 としたときの倍率です。

60 分以上あいた 2 行で、読み込みと書き込みの大小がそれまでと逆になっています。30〜60 分までは読み込みのほうが大きく、60 分を超えると書き込みのほうが大きくなりました。境目の位置を見るために、この付近を 5 分刻みにします。

前回からの間隔

件数

読み込み(平均)

書き込み(平均)

50〜55 分

7

98,475

4,204

55〜60 分

9

67,193

5,570

60〜65 分

6

10,601

97,572

65〜70 分

3

9,476

99,903

55〜60 分では、9 件のうち書き直しになったのは 2 件です。60〜65 分では、6 件のうち 5 件が書き直しでした。設定した 1 時間と同じ位置で入れ替わっています。

有効期間が切れたあとの 1 回が占める割合

間隔が 60 分以上のリクエストは 129 件で、全体の 0.335% です。件数はこれだけですが、期間の総コストの 3.45% を占めます。キャッシュ書き込みトークンで見ると 8.87% です。

1 件あたりで比べると、間隔が 60 分未満でセッションの最初でもないリクエスト、つまりキャッシュが適用されていたリクエストの 10.57 倍 でした。

129 件のうち 74 件、57.4% は、そのセッションの中で最もコストの高いリクエストです。作業を止めて戻ってきた最初の 1 回が、そのセッションの一番高い 1 回になっています。

書き直される量を決めているもの

間隔が 60 分以上のリクエストを、書き込みトークンの大きい順に 8 件見ました。どの 1 件も、直前のやり取りで読み込みと書き込みを合わせた量の 9 割から 10 割を書き直しています。会話履歴をほぼ丸ごと送り直していることになります。

最も大きかったのは、9 時間あけたあとの 328,307 トークンです。間隔が 61.9 分の 1 件でも 293,769 トークンを書き直していて、キャッシュから読み込めた分は 0 でした。

では放置時間が長いほど高くなるのかというと、そうではありません。

放置時間

件数

書き込み(平均)

書き込み(最大)

60〜90 分

25

76,563

293,769

90〜180 分

24

65,309

216,442

3〜12 時間

56

72,974

328,307

12 時間超

24

53,483

177,331

平均が最も大きいのは 60〜90 分で、最も小さいのは 12 時間超でした。有効期間が切れた時点で読み込めるものは無くなるので、そこから先どれだけ待っても送り直す量は変わりません。金額を決めているのは、そのセッションにたまった会話履歴の量です。翌朝の 1 回が高くつくのは、翌朝だからではなく、前の晩に長く続けたからです。同じ 1 時間の中断でも、始めたばかりのセッションなら、送り直す量は数千トークンにとどまると考えられます。

1 時間あいた入力を止めるフック

対策は、有効期間が切れる前に /clear して、新しいセッションを始めることです。ただし、目の前のセッションが最後にいつ動いたのかは、画面を見ただけでは分かりません。判定はフックに実行させます。

Claude Code の SessionStart フックは、--resume や fork で再開したときに限り、前回の応答からの経過秒数と、キャッシュが切れている見込みを渡してきます。ところが今回止めたいのは、セッションを開いたまま放置して、戻ってきてそのまま入力する場合です。翌朝に限りません。会議で 1 時間離れて戻ってきたときも同じです。このときのセッションは開いたときのまま続いているので、SessionStart は実行されません。経過時間は自分で測る必要があります。

使うイベントは 3 つです。Stop で応答が終わった時刻をファイルに書き、UserPromptSubmit でその時刻からの経過を測り、SessionStart で記録を消します。標準入力の JSON を読む処理は cc-hooks-ts に任せ、判定だけを書きました。

~/.claude/scripts/typescript/cache-ttl-guard.ts
#!/usr/bin/env -S bun run --silent
import { createHash } from 'node:crypto';
import {
  existsSync,
  mkdirSync,
  readdirSync,
  readFileSync,
  rmSync,
  statSync,
  writeFileSync,
} from 'node:fs';
import { homedir } from 'node:os';
import { defineHook, runHook } from 'cc-hooks-ts';
import { join } from 'pathe';

const STATE_DIR = join(homedir(), '.claude', 'cache-ttl');
const HOUR_MS = 60 * 60 * 1000;
// promptCacheTtl が 1h なので、これを超えた入力は履歴全体の書き直しになる
const THRESHOLD_MS = HOUR_MS;
// cleanupPeriodDays の対象外なので自前で消す
const RETENTION_MS = 7 * 24 * HOUR_MS;

interface State {
  endedAt: number;
  blockedHash?: string;
}

function stateFile(sessionId: string): string | undefined {
  if (!/^[\w-]+$/.test(sessionId)) {
    return undefined;
  }
  return join(STATE_DIR, `${sessionId}.json`);
}

function readState(path: string): State | undefined {
  if (!existsSync(path)) {
    return undefined;
  }
  const parsed: unknown = JSON.parse(readFileSync(path, 'utf-8'));
  if (
    typeof parsed !== 'object' ||
    parsed === null ||
    typeof (parsed as State).endedAt !== 'number'
  ) {
    return undefined;
  }
  return parsed as State;
}

function writeState(path: string, state: State): void {
  if (!existsSync(STATE_DIR)) {
    mkdirSync(STATE_DIR, { recursive: true });
  }
  writeFileSync(path, JSON.stringify(state), 'utf-8');
}

function removeExpired(): void {
  if (!existsSync(STATE_DIR)) {
    return;
  }
  const limit = Date.now() - RETENTION_MS;
  for (const name of readdirSync(STATE_DIR)) {
    const path = join(STATE_DIR, name);
    if (statSync(path).mtimeMs < limit) {
      rmSync(path, { force: true });
    }
  }
}

function hashOf(prompt: string): string {
  return createHash('sha256').update(prompt).digest('hex');
}

const hook = defineHook({
  trigger: {
    SessionStart: true,
    Stop: true,
    UserPromptSubmit: true,
  },

  run: (context) => {
    try {
      const path = stateFile(context.input.session_id);
      if (path === undefined) {
        return context.success({});
      }

      // /compact はセッション ID を引き継ぐ。記録を消さないと、
      // キャッシュを作り直した直後の入力を止めてしまう
      if (context.input.hook_event_name === 'SessionStart') {
        if (
          context.input.source === 'clear' ||
          context.input.source === 'compact'
        ) {
          rmSync(path, { force: true });
        }
        return context.success({});
      }

      if (context.input.hook_event_name === 'Stop') {
        if (context.input.stop_hook_active) {
          return context.success({});
        }
        writeState(path, { endedAt: Date.now() });
        removeExpired();
        return context.success({});
      }

      const state = readState(path);
      if (state === undefined) {
        return context.success({});
      }

      const elapsed = Date.now() - state.endedAt;
      if (elapsed < THRESHOLD_MS) {
        return context.success({});
      }

      // 同じ内容の 2 回目はそのまま処理させる。毎回止めると作業が進まない
      const hash = hashOf(context.input.prompt);
      if (state.blockedHash === hash) {
        return context.success({});
      }

      writeState(path, { endedAt: state.endedAt, blockedHash: hash });
      const hours = Math.floor(elapsed / HOUR_MS);
      return context.blockingError(
        [
          `前回のやり取りから ${hours} 時間経過しています。/clear してください。`,
          'このまま続ける場合は、同じ内容をもう一度送信してください。',
        ].join('\n'),
      );
    } catch (err) {
      process.stderr.write(
        `[cache-ttl-guard] ${err instanceof Error ? err.message : String(err)}\n`,
      );
      return context.success({});
    }
  },
});

if (import.meta.main) {
  await runHook(hook);
}
bun add -d cc-hooks-ts@^2.1.251 pathe@^2.0.3

入力を止めているのは context.blockingError() です。cc-hooks-ts がこれを終了コード 2 に変換します。終了コード 2 を受け取った Claude Code は、その入力を処理せず、標準エラーに書かれた内容を画面へ出します。

コードだけでは分かりにくい判断

Stop で stop_hook_active が true のときは何もしません。これはフックが原因で Claude Code が応答を続けている状態です。ここで時刻を書くと、本当に応答が終わった時刻を上書きしてしまいます。

SessionStart の source が clear か compact のときは記録を消します。/compact はセッションの ID をそのまま引き継ぐため、要約でキャッシュを作り直した直後なのに古い終了時刻が残り、次の入力を止めてしまうからです。

一度止めた入力と同じ内容が続けて送られてきたら、2 回目はそのまま処理させます。毎回止めると作業が進みません。続けるかどうかは自分で決めたいので、フックが止めるのは 1 回だけにしています。

settings.json には、3 つのイベントすべてに同じスクリプトを登録します。

~/.claude/settings.json
{
  "hooks": {
    "SessionStart": [
      {
        "matcher": "clear|compact",
        "hooks": [
          {
            "type": "command",
            "command": "bun run -i --silent ~/.claude/scripts/typescript/cache-ttl-guard.ts"
          }
        ]
      }
    ],
    "UserPromptSubmit": [
      {
        "hooks": [
          {
            "type": "command",
            "command": "bun run -i --silent ~/.claude/scripts/typescript/cache-ttl-guard.ts"
          }
        ]
      }
    ],
    "Stop": [
      {
        "hooks": [
          {
            "type": "command",
            "command": "bun run -i --silent ~/.claude/scripts/typescript/cache-ttl-guard.ts"
          }
        ]
      }
    ]
  }
}

止められたあとに選ぶのは /compact ではなく /clear です。公式ドキュメントは /compact の要約リクエストについて「After a break longer than the cache lifetime, there is no cache left to read, so the summarization request reprocesses the full history as uncached input」と書いています。有効期間が切れたあとの /compact が処理し直すのは、履歴の全体です。

動かして確かめたところ

60 分以上あけたセッションに「こんばんは!」と送りました。次の画面で見てほしいのは、その入力が処理に進まず、フックのメッセージが表示されていることです。

UserPromptSubmit operation blocked by hook と表示され、前回のやり取りから 1 時間経過していることを知らせて /clear を促すフックのメッセージ。その下に Original prompt: こんばんは! と、止められた入力が残っている

入力欄の内容は消えますが、Original prompt: の行に残っています。長い入力を書いたあとに止められても、ここからコピーして送り直せます。

同じ内容をもう一度送ると、今度は止まりません。

再送した「こんばんは!」がフックに止められず、Claude Code が応答を返している画面

画面とは別に、スクリプト単体の動作も確かめてあります。終了時刻の記録を 95 分前に書き換えたうえで、フックのイベントを表す JSON を標準入力から渡し、終了コードを見ました。

操作

期待

結果

60 分超で UserPromptSubmit

終了コード 2、標準エラーにメッセージ

終了コード 2。メッセージの出力を確認

同じ内容をもう一度 UserPromptSubmit

終了コード 0 で処理を続ける

終了コード 0

違う内容で UserPromptSubmit

終了コード 2 で再び止める

終了コード 2

SessionStart の source が compact

記録を削除する

削除を確認

標準エラーに出たのはこの 2 行です。

前回のやり取りから 1 時間経過しています。/clear してください。
このまま続ける場合は、同じ内容をもう一度送信してください。

まとめ

  • プロンプトキャッシュが切れる位置は 60 分だった。55〜60 分では 9 件中 2 件だけが書き直しで、60〜65 分では 6 件中 5 件が書き直しになる
  • 切れたあとの最初の 1 回は、キャッシュが適用されていたリクエストの 10.57 倍のコストだった。件数は全体の 0.335% だが、総コストの 3.45% を占める
  • そのとき送り直しているのは会話履歴のほぼ全体で、直前のやり取りで読み込みと書き込みを合わせた量の 9 割から 10 割にあたる
  • 放置時間が長くなっても送り直す量は増えない。金額を決めているのは、そのセッションにたまった履歴の量である
  • セッションを開いたまま放置して戻ってきた場合、SessionStart は実行されない。経過時間は Stop フックで自分で記録する
  • UserPromptSubmit で終了コード 2 を返せば入力を止められる。標準エラーに書いた内容が、止めた理由として画面に出る

参考

How Claude Code uses prompt caching - Claude Code Docscode.claude.comHooks reference - Claude Code Docscode.claude.comClaude Code で一番高いリクエストは「さっきの続きやって」かもしれないzenn.devClaude Code の利用状況を Cloudflare D1 にためてみる/blog/claude-code-usage-otel-cloudflare-d1Claude Code の利用状況を Cloudflare D1 にためてみるGitHub - Suntory-N-Water/cc-monitor-worker: Cloudflare Workersを活用したClaude Codeのモニタリングgithub.com
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